科学研究費補助金・基盤研究(C) 2018-2020年度
大学職員の内発性に基づく役割モデルの再構築に向けた日・韓・台比較研究
2018年度(1年目)は、大学行政管理学会関東地区研究会との共同企画により、2度にわたって台湾の9大学と教育部を訪問し、現地教職員へのインタビューと意見交換を行った。
第2回台湾訪問調査【2018年12月27日〜28日】参加者8名
逢甲大学(私立) 学生数 約20、000名 設立年1961年
@台湾の入試制度、A職員人事制度の概要、B教育の質保証や卒業生組織の活用などに学生の満足度が80%。少子化による台湾人学生の減少を留学生(現在1、600名、うち日本人50名)で埋めている(台湾では6番目に学生数が多く、外国人学生も5番目に多い)。高校との連携(教員の派遣、高校にカリキュラムの提供など)にも力を入れている。大学入試では、合格者の90%が入学する。卒業生アンケートを常に取って、そこから取り組みを変えている。教員に対してカリキュラム3日間の研修と海外派遣カリキュラムを実施し、質の向上に努めている、職員の研修は不定期ではあるが、中・高校派遣や海外カリキュラムも導入している。最近は大学院卒の職員も増えてきる。
長榮大学(私立) 学生数 約10、000名 設立年1993年
@教育面、A未来の発展、B大学の社会的貢献の3つの政策を掲げ、国際化、カリキュラム改善やプロジェクト学習の導入を図っている。学生の外国語学習に自信があるとのこと。少子化にも関わらず学生数が減っていない。校務研究(IRのこと)、教育の質保証に取り組んでいる。国際化戦略「南進北出」を掲げ、東南アジアを中心に留学生確保を図るとともに日本の宮古島にも「台湾長栄大学日本教育センター」を開設、分校の設立を目指している。
国立成功大学(国立) 学生数 21、805名 設立年1931年
国立重点大学であり、台湾大学に次ぐ国内トップクラスの国立大学。なお、台湾の南部の受験生を主に確保し、一定台湾大学とすみわけもしている様子。人事に関しては、日本の文科省に当たる教育部に任命権はあるが、学内での配置や業務内容は全て学内で決めている。なお、教育部からの出向は人事と財務だけで、専門職として派遣される。
文藻外語大学(私立) 学生数 約9、000名 設立年1966年
台湾唯一の外国語大学で、250以上の海外協定校を持つ。財政面では学費収入が中心であるが、その学費収入の70%が人件費支出に充てられている状況のため、教育面の補助金、研究費応募に注力し、この10年で補助金獲得(教育面の?)が私学では第1位に。カトリック系ということもあり人文、文科系教育を重視しているが。語学以外の国際、マネジメント等の第2専門の履修も推奨している。